チャージバック詐欺にご注意!~あなたのネットショップを守るために~ 前編【基礎知識編】

⚠️ チャージバック詐欺にご注意!~あなたのネットショップを守るために~ 前編【基礎知識編】

オンラインショップを運営していると,思わぬトラブルにまきこまれることがあります。
最近、意図的に制度を悪用する「チャージバック詐欺」と、カード不正利用に伴う「チャージバックによる被害」が増加しています。


そこで本記事では、実際の流れを図解で簡潔に解説しつつ、その被害パターンや注意すべきポイントを分かりやすく解説します。


1.チャージバックとは

そもそもチャージバックとは一体何なのでしょうか?

チャージバックの仕組みを正しく理解するために、
ここでは、購入者(あなた)がクレジットカードを使ってWEBショップで商品を購入する場合の流れを説明します。

【一般的な購入の流れ】

  1. あなたがWEBショップで商品をクレジットカード決済で購入する
  2. 商品があなたのもとへ配送される
  3. クレジットカード会社に商品代金の支払い請求が届く
  4. あなたがカード会社に対して商品代金を支払う

このように、「購入 → 商品到着 → 支払い」という順序が通常の取引の流れです。


ところが・・・

もし、あなたのクレジットカード情報が不正に利用され、身に覚えのない商品が購入されてしまった場合、どうなるのでしょうか?


【不正利用が発生した場合】

・あなたはすぐにクレジットカード会社へ不正利用の報告を行います
・カード会社は調査を行い、不正利用が認められると支払いが取り消されます(あなたに代金負担は発生しません)

これが「チャージバック」です。

ほとんどのクレジットカード会社では、不正利用からカード保有者を守るためにチャージバック制度を設けています。
私たちが安心してカード決済を利用できるのは、この仕組みがあるからです。


2. チャージバックによる被害とは

ここからは、「チャージバックによる被害」について説明します。

今回は視点を変えて、あなたがWEBショップのオーナーだった場合を想定してお話しします。

【通常の取引の流れ】

・購入者がクレジットカードで商品を購入
・あなたが商品を発送
・クレジットカード会社経由であなたに代金が支払われる


このように購入者が実は転売ヤーで、あなたの商品が気が付かないところで転売されているケースも
もしかするとあるかもしれません・・・。


なんとも腹ただしいケースではありますが、このケースの場合、あなたのお店に直接的な金銭的被害は発生しません
購入者が正規に決済を行い、商品を受け取ったため、お店には正規代金がきちんと支払われています。


問題はここからです・・・

もし、購入者が盗用されたクレジットカードを不正に使用していた場合はどうなるのでしょうか?


この場合、あなたのお店には大きなリスクが発生します。

もし、購入者が盗用したクレジットカード情報を使っていた場合...

  • 詐欺師は商品を受け取り、すぐに転売して現金化
  • カード本来の持ち主からカード会社へ「不正利用」の申し立て
  • カード会社がチャージバック(返金)を受理
  • あなたの売上金が取り消される!

結果、商品も売上金も失うという最悪の事態に陥ります。

これが「チャージバックによる被害」です。

3. チャージバック詐欺とは

クレジットカードの「チャージバック制度」を意図的に悪用する詐欺行為を、チャージバック詐欺といいます。

たとえば、購入者本人が商品を受け取ったにもかかわらず
「買った覚えがない」「知らない請求だ」などとカード会社に虚偽の申告を行い、代金の支払いを免れる不正行為です。

これは盗難カードなどによる不正利用とは異なり、
「正規の購入者本人」が制度を悪用する点が大きな特徴です。

このような詐欺は、別名「フレンドリー詐欺(Friendly Fraud)」とも呼ばれ、EC事業者にとって深刻な問題となっています。

※なお、チャージバックには、購入者の記憶違いや家族による利用に気づかなかったことなど、
購入者に一定の過失があるものの、詐欺目的ではないケースも含まれるため、個別の事情に応じた対応が求められます。

4. 実際に起きたチャージバックによる被害の事例

ネットショップを運営する筆者の知人が、実際に遭ったチャージバックによる被害を紹介します。

詐欺師たちは、自らが逮捕されるリスクを回避するため、「闇バイター」と呼ばれる第三者と匿名配送ができる「フリーマーケット」
を利用して継続的に詐欺行為を行っていました。


【発生経緯】

商品購入とクレジット決済完了の通知メールを受けた知人は、通常通り商品を発送。

・その後、クレジットカード会社から入金を受けたものの、数日後、チャージバック申請による返金要求の連絡を受ける。

・理由は「身に覚えのない請求」。異議申し立てを行うには、証明できる書類(反証)を提出せよとの指示。

・すぐに配送会社に連絡し、商品受取時のサイン記録を入手してカード会社へ提出。

・しかし後日、異議申し立ては却下。
(※理由は、受け取りサインがカード保有者本人ではなく、闇バイターによるものであったため)

・結果として、商品を詐欺師に奪われてしまいました・・・。

この構図のポイントは、
「商品発送先と詐欺師本人の間に"クッション"(闇バイター)を挟んでいるため、詐欺師が安全圏にいる」
という仕組みになっていることです。

ポイント

配送段階では詐欺に気づきにくい
(商品受取人が闇バイターのため、配送会社も異常を察知しにくい)

闇バイターの自覚がないため捜査が難航する
(本人に詐欺加担の自覚がないケースが多く、事情聴取も難しい)

詐欺師の身元が分からないため繰り返し被害が出る
(カード会社経由でも詐欺師の情報は開示されず、再発防止が困難)

商品回収がほぼ不可能
(盗まれた商品はフリマサイト等で匿名販売され、回収が極めて困難)

このように複雑な構図となっているケースが多いため、チャージバック申請がひとたび発生すると、ショップ側は反証や商品の取り返しができず、
結果として大きな損失を受けることになります。
加えて、チャージバック申請はカード会社の独断で受理・判断され、申請の内容は非公開のため、ショップ側による反証(証拠提出)は、そもそも非常に認められにくいという実情もあります。

そのため、チャージバック申請後に対処するのではなく、そもそもチャージバック申請を発生させない工夫が極めて重要になります。

💡まとめ

チャージバック制度は、もともとクレジットカード利用者を守るための大切な仕組みです。
しかし、制度の「隙」を突いた悪意ある行為によって、WEBショップが思わぬ被害を受けるリスクも存在します。

だからこそ、
✅ 不審な取引に早期に気づく
✅ 対策を事前に講じる
✅ 万が一被害に遭った際も冷静に対処する
ことが非常に重要です。

しっかりと知識を持ち、適切なリスク管理を行うことで、安心してネットショップ運営を続けていきましょう。

次回は、こうした被害を未然に防ぐための対策と、万が一被害にあってしまった場合の対応方法について、実例を交えて解説していきます。

(実は、「4. 実際に起きたチャージバックによる被害の事例」には続きがあり、知人のお店は、適切な対応を重ねた結果、盗まれた商品を取り返すことに成功しています。
その詳細も、後編【対策・対応編】でご紹介します!)


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